2025/01/16
【コラム#6】
腰痛でお悩みの方に。「硬いマットレスが腰によい」は迷信?
最近は、高反発や低反発、釣り糸型の素材など
「腰痛対策に良い」という謳い文句で
マットレスが数多く販売されていますが
腰痛でお悩みの方、どんなマットレスで
毎日眠っていますか?
マットレスを選ぶときに、
まず話にでるのが『硬さ』。
どの程度の硬さを選ぶかによって
弾力性・寝心地が変わってきます。
特に腰痛対策のためには硬いマットレスや
敷き布団を選ぶ方が良いという
話をよく耳にするので、
硬めのマットレスを
愛用している方も多いのでは。
「硬いマットレスは腰に良い」という俗信。
本当にそうなのでしょうか?
「硬いマットレスが良い」
といわれるようになった経緯。
いろいろ考えてみると複数ありますが
特に考えられるのが
その①
日本人は「畳に敷く布団スタイル」に慣れているから。
もともと、日本では畳に木綿敷布団を
敷いて寝るのが一般的で、
『硬い寝心地』は昔から慣れ親しんでいるから。
”せんべいふとん”という言葉を聞きますが、
へたってペタペタに薄く硬くなってしまった
敷ふとんのこと。
へたっていることが分からず
寝ている人も多数いるかと思います。
その②
柔らかいマットレスでは腰が沈みすぎるから。
腰痛を引き起こす原因のひとつとして
姿勢の崩れが挙げられますが、
猫背や反り腰になり背骨のバランスが崩れて
筋肉が緊張し、腰痛を引き起こすと言われています。
柔らかいマットレスで眠ると
体重の約44%を有する腰部分が沈みこみ、
寝る姿勢が猫背状態に
なってしまう恐れがあります。
硬いマットレスであれば腰の沈み込みを防ぎ、
背骨が描くS字カーブを
保持することが出来るので、
腰痛対策に良いとされているようです。
ごもっともと思えるような理論です。
ですが、逆に、硬いマットレス信仰にも
デメリットがあります。
その①
硬すぎて腰や肩などの局部を圧迫してしまう。
人間の体は背中やお尻部分に凹凸があり、
硬いマットレスなどの
弾力が少ない寝具に寝ると、
自分の体重で局部を圧迫してしまいます。
その結果、筋肉の疲労を起こしたり
血流を妨げてしまい
腰や肩にかかる負担が
大きくなってしまいます。
その②
腰のくびれにすき間が出来るので、体重負担が増加する。
マットレスに適度な弾力がないと
体の凹凸を吸収することができないので、
腰のくびれ部分に大きなすき間が
出来てしまいます。
くびれ部分の体重はお尻の出っ張りで
支えないといけなくなるので負担が強くなり、
眠る姿勢も反り腰のような
バランスの崩れたものになりやすくなります。
この状態では腰に負担がかかりすぎるので、
腰痛を抱える人には
つらい体勢になってしまいます。
硬い柔らかいではなく、理想的な寝姿勢をつくるのが大切
そもそも硬い柔らかいは、
人それぞれ感じ方が変わります。
例えば、
Aさん
身長180cm 体重80kgの男性
Bさん
身長160cm 体重45kgの女性
この2人が同じマットレスで寝ても、
感じ方は必ず違います。
Aさんに合うマットレスは
Bさんに合うとは考えにくく、
Bさんには硬く感じることと思います。
やはり、人それぞれ、
身長や体重(BMI値)、背中の凸凹ライン、
性別の違い、筋肉量や好みによって
硬さや弾力の合う合わないって違います。
枕もしかりです。
人は、真っすぐ気を付けして立った姿勢
(正常立位姿勢といいます)
が、一番楽になるように骨格が
形成されています。
つまり、仰向けで寝た時に
この姿勢を維持できる、
適切なマットレスの硬さと枕の高さが
大切なんです。
この寝姿勢が崩れることにより
腰痛、背痛、肩こりなどの
睡眠トラブルとなって
起床時に身体の症状として現れます。
<総評>
「硬い」とか「柔らかい」という
感じ方・好みは人それぞれ。
自分が硬くて寝れないと思うものでも、
他の人からすれば
「ちょっと硬いと思うぐらい」
という場合もあれば
「この硬さがちょうどよい」と
思う人もいます。
でも「硬いのが欲しい!」という理由だけで、
マットレスを選ぶのは危険。
まだまだ、「硬めマットレスがおすすめ」
「柔らかいと腰が沈んじゃうので」と
商品をおすすめする店員さんやネット情報が
存在しているかと思います。
また、スポーツ選手愛用や高級ホテル導入など
といった知名度やブランドで選ぶのも危険。
それが、自分に合うかどうかは別ですからね。
今や、寝具は一人ひとりに合わせて
選ぶ時代です。
人それぞれ体型も違えば、
身長・体重・性別・好みも違う。
だからこそいろんなマットレスや
枕が販売されています。
その中からあなたに一番合う
寝具の組み合わせとは
どれかを一緒に探して見つける
お手伝いをするのが、
寝具専門店の使命であり、
責任だと思います。
枕やマットレス・寝具は一度買うと
長期間使用するアイテムです。
毎日安心してぐっすりと眠って
疲れをとることが大切な睡眠。
快眠=適切な寝具選びといえます。
もしも既に、硬いマットレスを購入したけど
イマイチしっくりこなかったり、
やっぱり、朝起きると腰が痛い方は
実は、硬いマットレスが合わない
のかもしれないので、一度疑ってみては。
何はともあれ、ぜひ、寝具をえらぶ時は
ブランド名や誤った情報に流されないよう
自分に合わせることを
大切にしていただければと思います。